予防としてのインプラントと欠損補綴

こんにちは。玉川歯科医院の玉川誠一と申します。
本日は予防としてのインプラント治療という題材でお話しさせてください。
予防は歯をなくさないようにするもの、インプラント治療は歯がなくなってから行うもの、矛盾する二つの治療はいかに関係性があるでしょうか。

歯のイラスト

まず歯がなくなった時の時における治療手段について紹介します。

主にこの三つが挙げられます。

まず①入れ歯について。

両隣の歯を削る量は微小ですが、噛む力は健常な状態の30%程度、そして異物感が強く、また金具の存在など見た目も良好とは言い難いでしょう。

②ブリッジについて。

ブリッジによって歯があった時とほとんど差がない程度に良好に噛むことができます。しかし両隣の歯を大きく削る必要があり、場合によっては神経をとる必要もあるでしょう。またこのイラストでは3本分の歯の機能を2本の歯で支えることになります。これは2本の歯に1.5倍程度の過度の負担がかかりやすい状態であることを意味します。 岡山大学の峯篤史先生らの研究によればブリッジの10年生存率は69%だといわれています。実に3割の方がブリッジを10年以内に外す、もしくは抜いているのです。

では③インプラント治療はどうでしょうか。

インプラントは骨にチタン製の金属を埋め込み、インプラントに上部構造としてかぶせ物をつける治療になります。ご自身の歯と同じようにしっかり噛むことができますし、見た目も良好、何より両隣の歯を一切削らないというのがブリッジ治療と比較して有利な点でしょう。

実際の当院での症例としてレントゲンを見ていきましょう。

49歳女性。
2011年に当院にインプラント埋入。
レントゲン画像の左下を注目ください。奥から二番目の歯にインプラントが入っているのがわかります。また画像左下の一番奥の歯に関しては特に大きく削る処置をしていないのが分かります。
インプラントではなく、ブリッジでもしっかり噛むことは可能な症例でしたが、仮にブリッジをここで作った場合はこの一番奥の歯は大きく削られ、歯にかかる負担も大きくなり、もしかしたら2011年から現在までの間にそのブリッジがダメになっていた場合もありえるでしょう。
このようにインプラント治療はただ噛めるようにするだけでなく、両隣の歯を大きく削らずに済む、すなわちインプラント治療は予防面としてもむしろ優れていると言えるのです。

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