コラム

歯周病治療④ 歯周病と糖尿病

こんにちは。玉川歯科医院の玉川誠一と申します。
今までに歯周病に関することを三回ほどコラムで掲載しました。

歯周病治療① 歯周病とは
歯周病治療② 当院での歯周病予防
歯周病治療③ 新たな洗口液

今回はより踏み込んだ話、糖尿病と歯周病に関する話をしようと思います。

糖尿病とは

糖尿病

そもそも糖尿病とはどのような状態でしょうか。
日本糖尿病学会によれば『インスリンの作用不足によって慢性高血糖をきたし、長期化することで特有の合併症を生じるとともに、動脈硬化をも進行させる病気』とされています。
人間は食べ物を食べて、胃などで消化し、血液中に糖という形で放出します。
この血液中の糖を、全身の細胞がエネルギーとして活用することで僕らは動いています。
この全身の細胞にエネルギーとして糖を取り込むのが、インスリンの役割です。
このインスリンが減少したり、働きが悪くなった結果、細胞がエネルギーを取り込めず、血中に糖分が多く残っているのが糖尿病の状態です。

インスリン

怖い糖尿病の合併症

糖尿病の怖さはその合併症にあります。
糖尿病になると血管障害が進行し、血管が詰まったり壊れたりすることで発症する病、例えば心疾患とか脳卒中、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、神経障害、足の壊疽などのリスクが高まることで知られています。

怖い糖尿病の合併症

歯周病との関連

さらに、糖尿病は歯周病の進行を促進することが明らかになっています。歯周病は『糖尿病の6番目の合併症』であると認識されつつあります。
つまり糖尿病があると歯周病の進行が著しく促進されます。歯周病の指標であるヘモグロビンA1c(HbA1c)が6.5%を超えると歯周病が憎悪しやすくなります。

歯周病との関連

歯周病治療で糖尿病が改善する!?

逆に歯周病をきちんと治療すると糖尿病も改善するケースがあることが明らかになってきました。
何故歯周病治療を行うと糖尿病が改善するかのメカニズムは省略しますが、歯周治療を行うことで、糖尿病の検査値HbA1cは平均0.5%改善すると言われています!
この改善量は糖尿病の薬物療法に匹敵するという説もあります。
したがって、重度の歯周病を併発した糖尿病患者さんは、糖尿病そのものの管理の一環として歯周病を治療するとともに歯周病の再発予防に努めることが大事です。

歯周病治療で糖尿病が改善する!?

日本糖尿病学会も歯周病治療を推奨

日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」では、「歯周治療は血糖コントロールの改善に有効か?」という臨床的疑問に対して、「Ⅱ型糖尿病では歯周治療により血糖が改善する可能性があり推奨される」として、最も強い推奨グレードであるグレードAを与えています。
これは、ほぼすべての患者にとって推奨される行為であることを意味します。

口腔内だけで全身のことの全てが改善するわけではありませんが、予防の一助になればと思い、玉川歯科医院もみなさんの健康の手助けをさせてもらえたらと思います。

日本糖尿病学会も歯周病治療を推奨

参考資料
糖尿病診療ガイドライン2024|一般社団法人日本糖尿病学会

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